2012年5月8日火曜日

秀吉が主人公の小説

秀吉が主人公の小説

豊臣秀吉が主人公の小説を探しています。

お勧め小説を教えてください。



お願いします。







今でこそ、主君の織田信長が人気ですけれど、80年代に津本陽の「下天は夢か」が出版されるまで、信長は至って不人気でした。

その分と言うか、豊臣秀吉は非常に人気で、「歴史作家なら、一度は秀吉を書く」と言っていいほど、巷に溢れていました。

その大半はもう、入手しがたくなっていますけれど、あるいはひょっこり復刊されるかもしれません。



私が覚えている、秀吉小説を挙げると……

吉川英治「新書太閤記」(講談社文庫)

海音寺潮五郎「新・太閤記」(絶)

早乙女貢「おれは日吉丸」「おれは藤吉郎」(絶)

司馬遼太郎「新史太閤記」(新潮文庫)

山田智彦「秀吉暗殺」(絶)

堺屋太一「秀吉 夢を超えた男」(文春文庫)

山田風太郎「妖説太閤記」(講談社文庫)

山岡荘八「豊臣秀吉 異本太閤記」(講談社文庫)

津本陽「夢のまた夢」(文春文庫)

まだまだあると思いますが……



一番のお勧めは、吉川英治でしょう。

戦後、日本国民を勇気づけるために書かれ、物資不足の折にも、優先的に用紙供給されたという”国民的作品”。NHK大河ドラマ第三作にも選ばれ、名優・緒形拳のTVデヴュー作でもあります。

普段あんまり本を読まない人の家にも、置いてあったというくらい広く読まれた伝説の長編。

ただし、全11巻もあるうえ、吉川が秀吉が天下をとり、有頂天になっている姿を描く気をなくしたため、「家康が秀吉に頭を下げた場面」で終わっています。

しかし、熱く書き込まれた戦国模様、夢中になるストーリー展開の上手さは、今も「国民的文学」と呼ばれるのにふさわしい。



同じく大河の原作になった堺屋太一の作品は、秀吉の一生を今日的視点から分かりやすく描いています。秀吉の行動や事件が、歴史にどういった影響があったか、今日から見ればどういった意味があるかを、彼らしく実に明快に描いています。

友人に譲ってあげたら彼は大いに気に入って、しょっちゅう読み返しているそうです。



まあ一番読みやすく分かりやすいのは、山岡荘八でしょう。

全6巻と手ごろな長さで、しかも講談調の読みやすい文章では彼の右に出る人は多くないでしょう。彼の作品を原作にした、横山光輝のコミック版もありますし。



山田風太郎の作品は、すごい異色作。

秀吉の「暗黒面」を抉り出した小説で、明るい出世物語に隠された秀吉の本性を告発しています。

「庶民は自分たちを苦しめた人物を、英雄として祭り上げるものだ」と言う皮肉な結末が印象的。一度は読んでおくといいでしょうね。








宇月原晴明

「聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ)」



はいかがでしょうか?

史実からはかけ離れていますが、エンターティメント性の強い面白い小説だと思います。







司馬遼太郎さんの、「新史太閤記」を、おすすめします。

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